設立総会
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医療法人を設立するには、あらかじめ設立総会を開催し、次に掲げる事項を審議し、決定しなければなりません。
(1) 医療法人の設立の趣旨承認
(2) 社員の確認
(3) 定款の承認
(4) 拠出(寄附)申込み及び設立時の財産目録の承認
(5) 初年度及び次年度分の事業計画及び収支予算の承認
(6) 役員及び管理者の選任
(7) 設立代表者の選任
(8) 診療所の土地、建物等を賃借する場合の契約の承認
(9) その他の必要事項
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定 款
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定款は、医療法人の組織、運営等に関する基本を定めたものです。
医療法人を設立するには、定款で次の事項を定めなければなりません。(医療法第44条)
(1) 目 的
(2) 名 称
(3) 開設しようとする診療所の名称及び開設場所
(4) 事務所の所在地
(5) 資産及び会計に関する規定
(6) 役員に関する規定
(7) 社団たる医療法人にあっては、社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定
(8) 財団たる医療法人にあっては、評議員会及び評議員に関する規定
(9) 解散に関する規定
(10)定款の変更に関する規定
(11)公告の方法
(12)医療法人設立当初の役員
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社員総会
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社員総会は、社員をもって構成する法人の最高の意思決定機関であり、次の事項は社員総会の議決を必要とします。
(1) 定款の変更
(2) 基本財産の設定及び処分(担保提供を含む)
(3) 毎事業年度の事業計画の決定及び変更
(4) 収支予算及び決算の決定
(5) 剰余金又は損失金の処理
(6) 借入金額の最高限度の決定
(7) 社員の入社及び除名
(8) 解 散
(9) 他の医療法人との合併契約の締結
(10)その他重要な事項
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理 事 会
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理事会は理事をもって構成し、次の事項を決定します。
(1) 社員総会に付議する事項
(2) その他理事長が付議する事項
なお、知事の認可を受けた場合を除き、管理者は必ず理事に加えなければなりません。
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監 事
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監事の職務は次のとおりです。(医療法第46条の4第3項)
(1) 法人の業務の監査
(2) 法人の財産状況の監査
(3) 毎会計年度、監査報告書の作成及び社員総会又は理事への提出
(4) 財産状況又は業務の執行について不正を発見したときは、社員総会又は知事への通知
(5) 上記(3)の報告をするために必要があるときは社員総会の招集
(6) 法人の業務又は財産状況について理事に対し意見を述べること
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役 員 数
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医療法人は、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置くことが原則です。(医療法第46条の2)
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理 事 長
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医療法人の理事のうち、1人は理事長とし、医師又は歯科医師のうちから選出しなければなりません。
医療法人を代表する者は、理事長のみであり、理事長以外の理事には代表権はありません。(医療法第46条の3)
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役員の欠格事由
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次のいずれかに該当する者は、医療法人の役員となることはできません。(医療法第46条の2)
(1) 成年被後見人又は被保佐人
(2) 医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
(3) (2)に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
なお、監事は、法人の理事又は法人の職員を兼ねることは認められません。(医療法第48条)
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会計年度と決算
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医療法人の会計年度は、4月1日に始まり、翌年の3月31日に終わるものを原則としますが、定款により、任意の1年を定めることができます。(医療法第53条)
医療法人は、毎会計年度の終了後2月以内に事業報告書等を作成し、3月以内に監事の監査を経て、神奈川県知事に事業報告書等及び監事の監査報告書を届け出なければなりません。(医療法第51条及び第52条)
なお、届け出る書類は次のとおりです。
(1) 事業報告書
(2) 財産目録
(3) 貸借対照表
(4) 損益計算書
(5) 監事の監査報告書
事業報告書等及び定款は、社員若しくは評議員又は債権者からの請求があれば、正当な理由がある場合を除き、主たる事務所において閲覧させなければなりません。(医療法第51条の2)
なお、平成19年4月の医療法改正により、都道府県知事は、上記の届出があった書類と定款について請求があれば閲覧させることになりました。(医療法第52条第2項)事業報告書等については、施行後開始する会計年度以降の事業報告書等が閲覧の対象となります。また、定款については、現存する定款が閲覧の対象となります。
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賃貸借契約の引継ぎ
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土地、建物は、医療法人の所有であることが望ましいのですが、個人が開業医として賃借していた診療所の土地、建物、医療機械器具等を医療法人が、引き続き賃借することは差し支えありません。なお、この場合は、土地、建物又は医療機械器具等の所有者の承認が必要です。
また、個人開業医と土地、建物の所有者との賃貸借契約を終了させ、新たに医療法人と所有者との賃貸借契約を締結させる必要があり、この契約は長期間にわたるものであり、かつ、確実なものであることを要します。この賃貸借契約書は、法人設立認可申請の際の添付書類の一つになります。
なお、個人開業医が賃借していた土地、建物又は医療機械器具等については、新たに賃借人乙を医療法人○○会 設立代表者□□□□と表示した覚書又は賃貸借契約を締結し、特約事項として「本契約は、神奈川県知事の医療法人設立登記の日をもって発効するものとし、同法人設立のうえは乙の表示は、医療法人○○会 理事長□□□□(主たる事務所の所在地を記載)と読み替えるものとする。」を加えておくことが必要です。
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資産要件
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新たに診療所を開設するために一人医師医療法人を設立する場合及び経営実績が2年未満で一人医師医療法人を設立する場合には、2か月以上の運転資金を有することが必要です。
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基 金
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平成19年4月より、持ち分の定めのない社団たる医療法人は、資金の調達手段として、基金制度を採用することができるようになりました。(医療法施行規則第30条の37及び第30条の38)
基金とは、上記法人の設立等にあたり拠出された金銭その他の財産であって、法人が拠出者に対して、双方の合意の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価格に相当する金銭の返還義務)を負うものです。
基金に関する手続きの概要は、以下のとおりです。
(1) 基金を引き受ける者の募集をするにあたり、基金の拠出者の権利に関する規定及び基金の返還の手続きを定款で定める必要があります。なお、基金の返還に係る債権には、利息を付することができません。
(2) 基金の返還は定時社員総会の決議によって行わなければなりません。なお、返還する場合には、返還をする基金に相当する金額を代替基金として、貸借対照表上の純資産の部に計上しなければなりません。また、代替基金は取り崩すことはできません。
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設立登記
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医療法人は、法務局へ設立登記しなければ成立しません。(医療法第46条)
従って、医療法人設立認可があれば、設立認可のあった日から2週間以内に主たる事務所を管轄する法務局に、理事長が次の事項を登記の申請をしなければなりません。(組合等登記令第3条)
(1) 目的及び業務
(2) 名 称
(3) 主たる事務所
(4) 理事長の住所及び氏名
(5) 存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
(6) 資産の総額(純資産額)
さらに設立登記後、所轄庁に「設立登記完了届」を提出する必要があります。(組合等登記令第2条)
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剰余金の配当の禁止
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医療法人は、剰余金の配当が禁止されています。(医療法第54条)
従って、収益を生じた場合には、施設の整備、法人職員の待遇改善等に充てるほかは積立金として留保しなければなりません。
なお、配当ではないが、事実上利益の分配とみられる行為も禁止されています。
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解散及び残余財産の処分
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医療法人は次に掲げる事由により解散します。(医療法第55条)
(1) 目的たる業務の成功の不能
(2) 社員総会の決議
(3) 他の医療法人との合併
(4) 社員の欠亡
(5) 破 産
(6) 設立認可の取消
(7) 定款をもって定めた解散事由の発生
なお、解散した医療法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除くほかは、定款の定めるところにより、国若しくは地方公共団体又は医療法人その他の医療を提供する者であって省令で定めるもののうちから選定した者に帰属します。(医療法第44条第4項)
また、解散の事由(上記(1)(2))によっては知事の認可を受けなければ、解散の効力は生じません。なお、この場合知事はあらかじめ医療審議会の意見を聴くことになっています。(医療法第55条)
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