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贈与と相続(その 3)
〜 「相続」が「争族」とならないために 〜

3.相続
(1)条文

民法第882条〜1044条

(2)意義

自然人の死亡によって、その個人に属する権利義務が、一定の身分関係を持つ者に承継・移転する法律効果を発生すること。現行の民法では、財産的な価値(積 極財産=プラスのものも、消極財産=マイナスのものも含まれる)のみが、相続の目的とされている。

(3)相続人

○被相続人の配偶者:常に相 続人。
@被相続人の:第一順位の相続人。
(法定相続分は配偶者1/2、子1/2。配偶者がいない場合、子が全部。)
A被相続人の直系尊属:第二順位の相続人(@子がいない場合)。
(法定相続分は配偶者2/3、直系尊属1/3。配偶者がいない場合、直系尊属が全部。)
B被相続人の兄弟姉妹:第三順位の相続人(@子A直系尊属がいない場合)。 (法定相続分は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4。配偶者がいない場合、兄弟姉妹が全部。)

(4)遺言

@遺言の意義:被相続人に とっては、死後もなお自己の財産を本人の意思に従って自由に処分できること。また相続人にとっては、居住用不動産・現金など比較的納得のいく形で被相続人 の資産を継承しやすくなる。
A遺言できる人:満15歳に達した者。
B主な遺言の種類
種 類 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
内 容 遺言者が、全文、日付及び氏名を自書し、押印するもの。 @利害関係のない二人の証人が 立会い。
A遺言者が遺言の主旨を公証人に口述
B公証人が筆記し、遺言者および証人に読み聞かせ又は閲覧させる。
C遺言者及び証人が内容確認の上、各々署名・押印
D最後に公証人が上記方式に従って作成したものである旨の付記をして、署名・押印
@遺言者が、証書に署 名・押印
A遺言者が、証書を封じ、同じ印章で封印
B遺言者が、公証人1人及び2名以上の証人の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨及び氏名・住所を申述。
C公証人が、提出の日付及び遺言者の申述を封紙に記載後、遺言者及び証人と共に署名・押印
長所 @秘密が保持しやすい。
A手続が簡単。
@内容が明確。
A紛失・偽造・変造等の危険がない。
@秘密が保持しやすい。
A紛失・偽造・変造等の危険がない。
短所 @内容が不明確になりやすい。
A紛失・偽造・変造等の危険がある。
@秘密が漏れる可能性がある。
A手続に費用がかかる。
@内容が不明確になりやすい。
A手続に費用がかかる。
C遺言事項
内 容 遺言でしかできない事項 生前でもできる事項
財産の処分に関する事項 @相続分の指定・指定の委託
A遺産分割方法の指定・指定の委託
B遺産分割の禁止
C共同相続人間の担保責任の指定
D遺贈の減殺方法の指定
E遺言執行者の指定・指定の委託
@相続人の廃除・排除の取消し
A特別受益者の持戻しの免除
B遺贈
C財団法人設立のための寄附行為
D信託の設定
身分上の事項 @未成年後見人・未成年後見監督人の指定 @認知

(5)相続のタイムスケジュール

被相続人の死亡 〜相続の開始〜
3か月以内
関係者への連絡・葬儀の手配
通 夜


死亡届けの提出 ・・・7日以内に死亡診断書を添付して市区町村長へ提出
葬 儀


葬式費用の領収書等の整理・保管
初七日
・・・形見分けなど

遺言書の有無の確認 ・・・遺言書があれば、家庭裁判所の検認を受けた上で開封
香典返し
・・・35日忌または49日忌法要の頃(葬式費用には含まれない)
49日忌法要
・・・このころまでに納骨など

遺産や債務の概要の把握 ・・・相続の放棄をするかどうか決める
相続の放棄や限定承認
・・・家庭裁判所に申述
4か月以内
相続人の確認 ・・・被相続人・相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せ
準確定申告
・・・被相続人の死亡した日までの所得を税務署に申告
10か月以内
遺産や債務の調査 ・・・もれがないように調査
遺産評価・鑑定
・・・評価方法など不明の場合専門家に確認
遺産分割協議書の作成
・・・相続人全員の実印と印鑑証明が必要
相続税申告の準備
・・・納税資金の準備、必要に応じて物納・延納を検討
相続税の申告と納税
・・・被相続人が死亡した時の住所地の税務署に申告・納税。延納・物納の申告も同様。


遺産の名義変更手続 ・・・不動産の相続登記や預貯金・有価証券の名義変更等

(6)相続税の速算表

相続財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)を差し引いた金額に以下の速算表をあてはめる。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
1,000万円以下の金額 10% なし
3,000万円以下の金額 15% 50万円
5,000万円以下の金額 20% 200万円
1億円以下の金額 30% 700万円
3億円以下の金額 40% 1,700万円
3億円超の金額 50% 4,700万円
平成15年1月1日以降に発生した相続が対象

因みに、国税庁の相続税の統計と厚生労働省の人口動態統計から分析すると・・・
区 分 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度
被相続人数
(死亡者数)
970,331人 982,379人 1,014,951人 1,110,721人
相続税申告書提出に係る被相続人数 46,012人 44,370人 44,438人 43,488人
課税割合 4.7% 4.5% 4.4% 3.9%

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